スポーツ医学・運動生理
運動生理学のニューエビデンス
[ スポーツ医学・運動生理 ]
B5 判 ・ 464 頁 ・ 定価 (本体 8,500 円+税) 2010 年 11 月
ISBN: 978-4-88003-846-9
身体運動やパフォーマンスの科学的基礎となっている運動生理学について,新進気鋭の研究者(執筆者)によって最新のエビデンスがまとめられた待望の一冊.
〈主な目次〉
Section 1 運動と高位中枢
1 歩行運動の制御機構
Ⅰ.歩行運動の発現機構
Ⅱ.CPG 研究の進展
Ⅲ.ヒトにおける CPG
Ⅳ.左右肢のリズム形成
Ⅴ.上下肢(前後肢)のリズム形成
2 脊髄
Ⅰ.運動制御系
Ⅱ.脊髄の可塑性
Ⅲ.脊髄損傷後の適応
3 大脳皮質一次運動野の可塑性
Ⅰ.動物実験による知見
Ⅱ.ヒト皮質運動野における可塑性研究
4 運動と情動反応
Ⅰ.情動形成に関連する神経機構
Ⅱ.運動が情動関連神経機構に及ぼす影響
Section 2 運動と視覚
1 運動と視覚
Ⅰ.瞳孔
Ⅱ.網膜
Section 3 運動と感覚
1 立位位置知覚と姿勢制御時の脳波
Ⅰ.姿勢制御の中枢神経
Ⅱ.立位位置知覚と姿勢制御
Ⅲ.随意的上肢運動時や外乱負荷時の姿勢制御と前頭葉脳電位
2 静止立位の姿勢制御
Ⅰ.静的平衡機能評価
Ⅱ.伸張反射による静止立位制御
Ⅲ.静止立位姿勢の力学
Ⅳ.足関節トルクの制御
Ⅴ.アクティブトルクの制御
Ⅵ.静止立位制御系モデルを用いた研究
3 頸部前屈姿勢による脳俯活作用
Ⅰ.脳賦活の様相および神経機構
Ⅱ.構え姿勢の生理学的意義
Ⅲ.頸部前屈保持と関連した脳賦活作用
Ⅳ.眼球運動反応時間短縮効果の形成
Ⅴ.眼球運動反応時間短縮効果の加齢変化
Section 4 運動と末梢神経
1 協働筋の活動のストラテジー
Ⅰ.協働筋の活動
Ⅱ.協働筋の活動交替現象
Ⅲ.運動単位レベル
2 神経・筋活動分布
Ⅰ.筋活動の分布
3 随意発揮張力の調節
Ⅰ.運動調節能力に関する研究の概要
Ⅱ.力変動のメカニズム
Ⅲ.新しい力変動推定法
Section 5 運動と筋
1 筋萎縮
Ⅰ.筋萎縮
Ⅱ.筋萎縮を誘導する経路
Ⅲ.筋線維萎縮の細胞内メカニズム
2 加齢と筋
Ⅰ.骨格筋タンパク質の代謝応答
Ⅱ.タンパク質の必要所要量
Ⅲ.アミノ酸による筋タンパク質の同化作用
Ⅳ.内因性のホルモン分泌と筋タンパク質代謝
Ⅴ.一過性のレジスタンス運動の効果
Ⅵ.運動と栄養介入による筋肥大の試み-サルコペニア予防の可能性
3 骨格筋機能と筋肥大
Ⅰ.骨格筋機能
Ⅱ.筋肥大
Ⅲ.筋力と筋肥大
4 腱
Ⅰ.腱の加齢変化
Ⅱ.トレーニングによる腱の変化
Section 6 運動と骨格
1 メカニカルストレスと骨細胞
Ⅰ.骨細胞の特徴
Ⅱ.骨細胞の分化と機能
Ⅲ.骨リモデリングと骨細胞
Ⅳ.メカノセンサーとしての骨細胞の役割
2 骨退行
Ⅰ.生理的な骨退行
Ⅱ.骨退行の環境要因(リスクファクター)
3 骨の形成と吸収
Ⅰ.骨形成のしくみ
Ⅱ.骨吸収のしくみ
Ⅲ.骨形成と骨吸収のカップリング
Ⅳ.骨代謝の神経性調節
4 運動の骨強度への貢献
Ⅰ.メカノスタット理論
Ⅱ.二重エネルギー X 線吸収法(Dual energy X-ray absorptiometry:DXA 法)
Ⅲ.長管骨の形態変化
Ⅳ.若年時の運動が後年の骨強度に及ぼす影響
Ⅴ.ハイインパクトトレーニングの効果
Ⅵ.薬剤投与とは異なる運動による骨強度増加の効果
Section 7 運動と代謝
1 タンパク質
Ⅰ.タンパク質代謝の概要
Ⅱ.運動とタンパク質の異化
Ⅲ.運動とタンパク質の同化
Ⅳ.運動に対するタンパク質・アミノ酸代謝応答応答の性差
Ⅴ.運動がタンパク質代謝を変動させるメカニズム
Ⅵ.体タンパク質合成と栄養因子
2 脂質
Ⅰ.脂質の代謝経路
Ⅱ.運動と脂質代謝
Ⅲ.高脂肪食摂取と持久力およびインスリン抵抗性
3 糖
Ⅰ.運動強度と骨格筋のエネルギー源
Ⅱ.運動中および運動後の糖質代謝
Ⅲ.トレーニングによる骨格筋の糖質代謝適応
4 乳酸
Ⅰ.乳酸は運動による筋肉疲労の主たる原因ではなく,エネルギー基質である
Ⅱ.乳酸シグナル
Ⅲ.がん細胞と乳酸
Ⅳ.エネルギー基質利用と乳酸
Section 8 運動と内臓
1 膵臓
Ⅰ.持久的トレーニングと膵外分泌
Ⅱ.持久的トレーニングと CCK の作用
Ⅲ.栄養と膵外分泌
Ⅳ.膵外分泌機能低下の条件下での運動の効果
2 胃
Ⅰ.胃の形態・機能の特徴
Ⅱ.運動による胃の生理的反応
Ⅲ.運動による胃の生理的反応 -胃排出機能の視点から
Ⅳ.運動による胃活動の適応
Ⅴ.運動と消化器症状
3 肝臓
Ⅰ.グルコース供給源としての肝臓
Ⅱ.肝臓からの IGF-I 分泌
Ⅲ.運動時の血流低下と活性酸素の増加
Ⅳ.肝臓のストレス耐性
Section 9 運動と呼吸
1 運動開始直後における換気調節
Ⅰ.運動時の換気応答
Ⅱ.中枢からのドライブ
Ⅲ.末端からのドライブ
Ⅳ.中枢と末梢からの両ドライブ
2 換気の化学調節
Ⅰ.呼吸の化学調節系
Ⅱ.運動時の換気化学調節
Ⅲ.持久的トレーニングによる換気化学感受性の変化
3 組織における酸素供給と酸素消費
Ⅰ.組織における毛細血管と酸素供給
Ⅱ.組織における血管新生・退行
Ⅲ.運動と廃用に伴う毛細血管と酸素供給の変化
4 筋エネルギー代謝
Ⅰ.エネルギー代謝経路(ATP-PCr 系,解糖系,酸化的リン酸化系)
Ⅱ.筋エネルギー代謝の制御機序
Ⅲ.筋エネルギー代謝の不均一性
5 ミオグロビン
Ⅰ.筋組織の酸素分圧
Ⅱ.in vivo での Mb の酸素解離応答
Ⅲ.筋細胞内の空間的 Po2 分布
Ⅳ.今後の Mb 研究
Section 10 運動と循環
1 圧受容器反射による循環調節
Ⅰ.運動中の循環調節機能
Ⅱ.運動中の血圧上昇メカニズム
Ⅲ.圧受容器反射機能と血圧調節機能
Ⅳ.運動中の圧受容器反射は機能しているか?
Ⅴ.血圧調節機能における末梢血管反応の特徴
Ⅵ.運動中の大動脈弓圧受容器反射
Ⅶ.運動中の心肺圧受容器反射
2 セントラルコマンドと循環調節
Ⅰ.セントラルコマンドとは
Ⅱ.セントラルコマンドによる心臓制御
Ⅲ.セントラルコマンドによる末梢血管制御
Ⅳ.セントラルコマンドによる動脈血圧反射の修飾
3 末梢反射と循環調節
Ⅰ.筋代謝受容器反射
Ⅱ.筋機械受容器反射
Ⅲ.筋代謝受容器反射と動脈圧受容器反射との相互作用
4 心臓左心室後負荷と動脈コンプライアンス
Ⅰ.心臓左心室の収縮力と後負荷
Ⅱ.心臓左心室後負荷の血管抵抗と動脈コンプライアンスによる調整
Ⅲ.動脈コンプライアンスに影響を及ぼす因子
5 血管内皮機能
Ⅰ.血管平滑筋作動性物質
Ⅱ.血管内皮機能の評価
Ⅲ.血管内皮機能と習慣的運動
Ⅳ.血管内皮機能と安静時の四肢血流量
6 脳循環調節
Ⅰ.運動時の脳血流応答
Ⅱ.運動時における内頸動脈経路と椎骨動脈経路の血流調節
Ⅲ.脳循環調節
Section 11 運動と体温
1 中枢調節
Ⅰ.体温調節による運動能力制御
Ⅱ.体温調節に起因する脳活動変化
Ⅲ.体温調節における中枢の神経伝達物質
2 末梢調節
Ⅰ.発汗調節
Ⅱ.皮膚血管調節
Ⅲ.運動に関連する非温熱性要因
3 日内運動
Ⅰ.核心温度の概日リズムにおける形成機序
Ⅱ.核心温度の概日リズムと運動との関係
Ⅲ.運動時における熱放散反応の日内変動
Ⅳ.熱放散反応へのメラトニンの影響
4 性差
Ⅰ.性周期の影響
Ⅱ.性差の影響
Ⅲ.運動トレーニングの影響
Section 12 運動と体液
1 運動時の体液と体液調節
Ⅰ.体液調節の基礎
Ⅱ.運動時の体液の変化と体液調節
2 運動トレーニングと体液および血漿量
Ⅰ.間質液と血漿の調節機構
Ⅱ.運動トレーニングによる血漿量の増加
Ⅲ.体液および血漿量の増加とパフォーマンス
Ⅳ.体液および血漿量の増加と体温調節反応
Section 13 運動とホルモン
1 細胞内シグナル伝達系と運動
Ⅰ.細胞間シグナル伝達分子と細胞内シグナル伝達系
Ⅱ.運動や運動トレーニングによる細胞内シグナル伝達系の変化
2 アディポカイン
Ⅰ.アディポカイン
Ⅱ.脂肪組織と炎症反応
Ⅲ.アディポカインに対する運動トレーニングの影響
Ⅳ.アディポカインと脂肪組織量との関係
3 血管拡張・収縮物質
Ⅰ.血管拡張・収縮物質
Ⅱ.内皮由来血管拡張・収縮物質
Ⅲ.有酸素性トレーニングによる内皮由来血管拡張・収縮物質の影響
Ⅳ.レジスタンストレーニングによる内皮由来血管拡張・収縮物質の影響
Ⅴ.血管拡張・収縮物質の遺伝子多型と体力および身体活動量の影響
4 アンドロゲン:骨格筋の適応
Ⅰ.アンドロゲンの合成と作用メカニズム
Ⅱ.運動とアンドロゲン
Ⅲ.アンドロゲンの局所産生機構
Section 14 運動と血液
1 血液性状
Ⅰ.血球産生の機序
Ⅱ.運動による血液性状の変化
Ⅲ.持久性運動パフォーマンスと赤血球
2 血液変形
Ⅰ.血液の粘度
Ⅱ.血液の変形能
Section 15 運動と免疫
1 感染防御のしくみと粘膜面における感染防御
Ⅰ.感染防御のしくみ
Ⅱ.粘膜面における感染防御
Ⅲ.免疫グロブリン(抗体)とは
Ⅳ.抗体の機能
Ⅴ.抗体の構造
Ⅵ.抗体の多様性
Ⅶ.分泌型抗体産生のしくみ
Ⅷ.運動による変化
2 粘膜上皮における感染防御
Ⅰ.粘膜免疫とは
Ⅱ.腸管上皮における感染防御機構
Ⅲ.精神的・身体的ストレスにおける腸管上皮の防御機構
3 自然免疫における感染防御
Ⅰ.自然免疫とその機能
Ⅱ.自然免疫による獲得免疫の誘導
Ⅲ.自然免疫とメタボリックシンドローム
Ⅳ.運動時の自然免疫応答
Ⅴ.感染防御と身体活動
4 獲得免疫における感染防御
Ⅰ.獲得免疫における感染防御
Ⅱ.獲得免疫の運動による変化
索引