麻酔科学・臨床麻酔 _ 臨床麻酔
虚血性中枢神経障害の
基礎と臨床
[ 臨床麻酔 ]
A 5 判・280 頁・定価 (本体 4,600 円+税) 2016 年 5 月 発売
ISBN: 978-4-88003-904-6
虚血性中枢神経障害は,院外心停止患者の蘇生後の脳障害や,心臓血管外科・脳神経外科領域の術後にある頻度生じることなどの周術期管理上の課題等,依然大きな問題として残されている.これまでの虚血性中枢神経障害に関する課題と解決法を基礎(虚血性神経細胞死の特徴や発生機序),臨床(予防や内科的・外科的治療,慢性期・急性期の治療)と将来の治療法(麻酔薬,ガス分子,迷走神経刺激法,蛋白質導入法,神経再生)の可能性の観点から解説.
〔主な目次〕
1.基 礎
(1)虚血性神経細胞死の特徴
1 選択的脆弱性
2 遅発性神経細胞死
3 虚血耐性
4 まとめ
(2)虚血性神経細胞障害のメカニズム
1 脳虚血とは
2 心停止後症候群
3 虚血性脳神経細胞死誘発のメカニズム(グルタミン酸-Ca2+説に基づく神経細胞死)
4 ミトコンドリア機能不全と神経細胞死との関連
5 ミトコンドリアにおける Ca2+ cycling と MPT(Mitochondrial Permeability Transition)の誘発
6 虚血再灌流に伴う ROS の産生と MPT
7 カルシニューリンと細胞死
8 免疫抑制剤の抗虚血作用からみた虚血性神経細胞死のメカニズム(カルシニューリン/イムノフィリンの細胞死への関与)
9 神経集中治療における脳保護療法の展望
(3)実験的治療-カルシウム拮抗薬,グルタミン酸受容体拮抗薬,フリーラディカルスカベンジャー,βブロッカーなど-
1 カルシウム拮抗薬
2 グルタミン酸受容体拮抗薬
3 抗酸化物質
4 β1 アドレナリン受容体拮抗薬
5 Gender hormones
6 Insulin
7 Statins
2.臨床
(1)虚血性脳卒中の予防と積極的内科治療
1 脳梗塞一次予防のための危険因子の管理
2 脳梗塞再発予防のための危険因子の管理
(2)モニター-脳波,頭蓋内圧,誘発電位,脳血流,生化学的検査など-
1 脳波
2 頭蓋内圧
3 運動誘発電位(mortor evoked potentials:MEP)
4 感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials:SEP)
5 視覚誘発電位(visual evoked potentials:VEP)
6 経頭蓋ドプラー法(transcranial Doppler:TCD)
7 近赤外分光法(near infrared spectroscopy:NIRS)
8 マイクロダイアライシス
(3)外科的治療
1 脳虚血の基礎
2 画像診断
3 血行再建治療法
(4)体温管理療法
1 体温管理療法
2 心停止に対する体温管理療法
3 適応
4 初期リズムおよび発生場所
5 病院前での冷却輸液
6 低体温療法の導入・維持の方法
7 目標体温
8 持続時間
9 復温速度
10 神経集中治療としてのポイント
11 体温管理療法後の発熱コントロール
12 てんかん発作
13 心停止に対する TTM のまとめ
14 頭部外傷
15 歴史
16 低体温療法のキーポイント
17 低体温療法の有効性
18 常温療法の有効性
19 頭蓋内圧と TH 施行のタイミング
20 頭部外傷に対する TTM のまとめ
(5)慢性期脳梗塞の治療
1 (慢性)脳梗塞の病理所見
2 脳梗塞患者の一般的経過と従来の知見(リハビリテーションの関わり方)
3 慢性期脳梗塞の神経生理学的特徴と新しい治療
3.将来の治療法への可能性
(1)麻酔薬
1 脳(神経)細胞の脆弱性
2 麻酔薬による脳保護作用-基礎研究から-
3 麻酔薬による脳保護作用-臨床研究から-
4 麻酔薬の神経毒性
5 麻酔薬に将来の脳保護薬としての可能性はあるのか
(2)ガス分子による中枢神経保護
1 一酸化窒素:Nitrtic Oxide(NO)
2 一酸化炭素:Carbon Monoxide(CO)
3 硫化水素:Hydrogen Sulfide(H2S)
4 水素:Hydrogen(H2)
5 生体内ガス分子の相互作用
(3)迷走神経刺激法
1 VNS の歴史
2 迷走神経の解剖
3 VNS の臨床
4 虚血性脳障害への応用
(4)脳虚血治療への蛋白質導入法の応用の可能性
1 蛋白質導入法
2 脳虚血治療への応用
3 今後の課題
(5)神経再生
1 臨床研究
2 医師主導治験